外出自粛時に読みたい京都検定3分コラム

塩原直美の「学習帖落書きコラム」(第14回:美術)

皆様、いかがお過ごしでしょうか? 先日、2カ月ぶりにバスと電車に乗って仕事に出掛けました。車窓から見える景色、生活圏でないエリアを歩き、非常に新鮮でした。1日も早く、安心、安全に旅行や出張に移動が出来るようになることを心から願います。
さて当コラムも外出自粛中の企画ゆえ、それが順次、解除されてきましたので、そろそろ終盤です。科目も大半、ご紹介しました。既に講義が終わった科目から復習でスタートし、この先の科目の予習まで、お付き合いいただきました。恐らく、利用が真っ先にOKとなる美術館、博物館、図書館など、少しずつ家以外で勉強できるスポットへ出かけられそうですね。入館に制限や条件がある施設もあるようなので、それらをお確かめの上、感染対策をし、リフレッシュも兼ね、お出かけください。さて、今回は...。

突然ですが、もし私が器用だったら...文化財・日本絵画の修復の仕事をしたかったです。絵師の技術と画力、意図、背景にある時代を想像し、そこに描き出された情熱を間近に見て感じ取る感動や発見。それを後世に残す尊い作業を全う出来たら素敵だなと。そうした思いもあるので「美術」は好きな科目です。14回目の今回は「美術」。工芸は「技術」で触れたので、絵画と彫刻の内容で講義は進めます。絵画は歴史、系譜、絵師、画題、色、彫刻は歴史、仏師、仏像の種類などでまとめます。例えば、人気の画題「富士山」。信仰の対象でもあり、その視点も大切ですね。室町時代あたりから現代まで人気のモチーフで、特に江戸時代は観光ブームで実に多くの絵師が富士山を描き残しています。皆様も幾つか思い浮かぶでしょう。京都から富士山は見えません。依頼主の注文の場合もあったでしょうが、それはさておき、京を拠点とした絵師で実際の富士山を見て描いたのは?誰かが描いた富士を見て行ってないけどアレンジして描いたのは?「富士山を旨く描ける方法は?」と中国の画家に聞いた絵師は?そうしたエピソードも知って鑑賞すると実に楽しいです。曽我蕭白や円山応挙は富士山を恐らく見ていませんが、数点あります。3度登っているのは健脚、池大雅。他にも雪舟、狩野山雪、尾形光琳、与謝蕪村、原在中など、京の絵師だけでも沢山います。長沢芦雪の富士山はあり得ない鋭角で、鶴群も興ざめ...。芦雪は実際、富士山を見てないと私は思いますが、この絵は好き。写生も模写も、様々な個性が発揮できる富士山の絵は見比べると楽しく話は尽きません。所蔵先が京都ではありませんが大雅が妻・玉瀾のために描いた12ヶ月の富士の絵も心温まる夫婦愛のエピソードと共に、12幅の異なる大雅の視点も見所です。




・・・講師プロフィール:塩原直美


(画像:深泥池近くに建つ池大雅生誕のゆかりの碑)

 

一覧へ